1月25日から29日まで、スイスのダボスで世界経済フォーラムの年次総会、通称ダボス会議が行われました。毎年、世界の経営者や知識人、政治家が一堂に会するこの会議では、5日間にわたって世界が直面する重要な課題についての議論が行われます。今年の会議では、昨年起きた東日本大震災が大きなテーマとしてあげられ、日本人俳優としてはじめて招待された渡辺謙さんも「A Simple Act of Compassion(思いやりという誰にでもできること)」と題する会合でスピーチしました。そのダボス会議の期間中に関連イベントとして日本政府主催で行われたのが「JAPAN NIGHT 2012」です。
この「JAPAN NIGHT 2012」のイベントコンセプトは《光 – LIGHTS OF JAPAN》、「光」が意味するのは「レジリエンス(回復力)」。世界が様々な困難な課題に直面する今、同じように東日本大震災という大きな課題を課せられた日本がそのレジリエンスを示すことで世界に貢献する、そんな思いが込められているのです。
企画・プロデュースしたのは、小山薫堂さんが代表を務めるオレンジ・アンド・パートナーズ。プログラムは、石巻市で被災したピアノが、泥の中から引き上げ、ボランティアらの協力で再生され、それを世界的なピアニストである辻井伸行さんが弾くという小山さん脚本による映像の上映で始まります。このピアノの響きとその再生劇はまさにいま世界に必要な、レジリアンス(=困難を乗り越える力)を表現するものとして、世界各国のゲストの心にも響いたようで、「とても想いが伝わった」という感想も聞かれました。
この映像は、政府の英語版動画サイト「Japanese Government Internet TV」で現在公開されています。外国に日本をアピールするだけでなく、日本の人たちにも光を感じて欲しいという想いがここには込められているのです。
そもそも、日本政府に英語版動画サイトなんてものがあることすら知らなかったんですが、日本政府もこんな形で地味に(と違っては失礼ですが)外国にアピールしているんですね。今回の動画を見ると、決して悪い取り組みではないと思えます。そして、実際に動画を見ると、音楽を背景に「復興の物語」が映像を中心に語られるものになっており、5分弱の動画ながら様々な想いが心に去来します。
ダボスのイベントでは、世界で活躍する4人のシェフが寿司や芋煮、日本酒といった伝統的なものに創作料理を加えた和食でゲストをもてなし、女流書道家の紫舟さんによる書のパフォーマンスやITと書のインスタレーション映像なども披露され、渡辺謙さんも登壇、小山さんが「日本人の結束力の強さ、つまり絆を改めて確信したパーティでした」と感想を述べたように、日本の力をアピールする場となったようです。
世界経済と日本の復興というのはなかなか結びつき難い話題のようにも思えますが、この動画を見れば決して繋がらない話題ではないと思えます。グローバルに様々な問題が複雑に絡み合う世の中、こんな動画が何かのヒントになるのかもしれないですよ!
JAPAN NIGHT 2012の動画を見る!